ABU 500 Series

ABU 500 シリーズについて

このタイプのリールは、エビスフィッシング(販売当時の日本の代理店)のカタログでも「通称快速リールと呼ばれ」とありましたが、片手でラインリリースができるなど リール全体がよりスピーディな釣りを実現できるよう機能化されている ということのようです。
必ずしも全てが同時にではありませんでしたが、このシリーズには、501 503 505 506 506M 507 508 520 がラインナップされていました。でも、登場した順番は 501からではなく、505 503/520 506 507 508 501/506M です。
それぞれのモデルの機能面での特徴は、501はダイレクトドライブタイプ、503/520と505はシンクロドラッグタイプ、506・506M・507・508はオートシンクロドラッグタイプです。ドラッグ機構に違いがあるということですね。なお、 507・508 だけがボディサイズが一回り大きなモデルです。

各モデルの写真はこちらから    

各モデルの概要など 登場順

ABU 505/Garcia ABU 505

1961年に製造が開始されたこのシリーズ最初のモデル。このモデル以前にもABUには吊り下げ型のクローズドフェイスリールが存在しました。それは、ABU-Matic のページに掲載している ABU-Matic 62 と 同72 及び 同82 です(この他にも 32 というモデルがあるそうですが、私たちは見たことがありませんので、どのようなリールかはわかりません。)。これらは ABU 505 が登場する少し前のもののようで、投げるときは通常の ABU-Matic と同じようにリールを上にして投げ、巻取るときはリールを下向きにしたようです(というか、私はそうしていました。ハンドルの回転方向の都合で、そうせざるを得ないという感じでしょうか。)。しかし下向きのままで巻き取りを行うと、リールの足が短いため巻き難いんです。そのために足を伸ばしたもの( ABU 500 シリーズ)が開発されたのかもしれませんが、今度はリールを上向きにして投げることができなくなってしまったために、ラインリリースの方法を変更することになったのでしょう。そういう工夫がこの ABU 500 シリーズに上手いことおさめられ、ABU-Matic からは外観が大きく変わったものの、中身は ABU-Matic そのものと言ってもよいほど共通部品も多いものとなっています。これで ABU-Matic 同様の信頼性が保証されたということだったんでしょうね。もちろん ABU-Matic 70 等にあったラインオシレーションやシンクロドラッグなどの機能は全て備わっています。ただ、どういうわけか ABU-Matic とは異なり、標準ではラインピックアップピンが2本ではなく1本しか装備されませんでした。以前、エビスフィッシングさんに「2本にして下さい」とお願いしたときには、すぐに対応して戴けたので、多分、「ABU-Matic とは違うんだよ。」という程度の問題なのではないかと思いますが・・・
— 以下、追記 —
ABU 500 シリーズのピックアップピンが1本の理由
2001年頃のことだったようです。ヨーロッパ在住の私達のメンバーがピックアップピンを2本に変更していた ABU 505 をメンテナンスに出した際に 「トラブルはないか?」 と聞かれ、その後に概要(というのも日本語での会話ではないのでニュアンスが・・・)以下のような話をされています。
本来、ABU 505 はピックアップピン2本装備での発売が予定されていたのだけど、それには少なからぬ問題があったために片側1本にされて販売された。
ピックアップピンが2本であることで生じる問題というのは、キャスティング体勢に入った時にピンの片方が引っ込まないことがあったこと。
前部のボタンを押して キン と音がしても、片側1本しかピンが下がっていないことがままあった ということだそうです。それに気がづかないでそのまま投げようとすると、引っ込んでいない片側のピンに釣り糸が引っかかることになるでしょう。
説明書の絵にもあるような前部のボタンを(人差し)指1本で押すスタイルでは、2本のピックアップピンを引き下げるのが(個体差かも知れませんが)必ずしも容易でない と判断されたということのようです。
これは、アブマチックシリーズとほぼ同じような機構でありながら、アブマチックシリーズではキャスティング時には構造上前部のゴムとカップの内側でラインを押さえ込むことが必要なので、後部ボタンを押せるところまで押し込むのが常であるけれど、ABU 500 シリーズにはそれがないために ピンの下がる音がした ら準備OKと思いがちだということなんでしょう。
ルアーなど投げるものが重ければリール(下がらなかったピン)にかかる負担が大きいでしょうし、それでラインが細ければルアー等が飛んでいってしまった というようなことがあったのかも知れません。
そういう点を考慮した結果、安全策を採って ピンを1本にした ということのようでした。
構造的にはピックアップピンは2本あった方が回転におけるバランスもいいでしょう。ピンを上げる際のハンドル抵抗軽減 といった話をされる方もいらっしゃるようですが、キャスティング時にハンドルが回転してピックアップピンが勝手に上がってしまう(からハンドルをダブルに改造する)といったご意見があるほどですのでいかがなものでしょうか?
私達のメンバーが聞いた話は そういうことはあるかも知れない なと感じられた内容なのですが、だからと言ってこれが 確か とまでは当然ながら断言できません。
以前のサイトのデータから書き出しましたが、より正確にお伝えできるように修正をしています
ちなみに、ピックアップピン1本のままのものでも2本に変更したものでも、私達は釣竿を持つ手ではなく、空いている反対の手で前部のボタンを押しています。
— 追記、ここまで —

さて、件の ABU 505 ですが、私達の所有しているもの及びメンテナンスさせて頂いたものだけでしか判断できませんが、少なくとも1979年までは製造されていたようです。使っている時には感じませんでしたが20年近く製造が続いたものであるとは現在の釣具のモデルチェンジサイクル等の状況を考えると驚きです。これだけ永く製造されていると、改良のためなのでしょうが、製造時期によって部品変更等が行われています。外装面では、カップの形状・足の太さ・ハンドルノブの形状・ねじの大きさ・ゴミ侵入防止リングの設置・塗装・モデルナンバーシールのロゴなど。内部では、ギヤー周り・センターシャフト周り・スプール取り付け部分など。初期段階には部品の追加がなされより良くするための改良。一方でモデル末期近くにはコストダウンのための部品の簡易化がありました。かなり割り切ったなと思わされる部品もあります。
初期のモデルは、フロントカップ部分にステンレスのリングが無く、ボディの足が細く(薄く)、ハンドルには初期の ABU-Matic 同様ゴミ防止のためのステンレスのリングがありませんでした。また、最初期のものには白い丸型のハンドルノブが付いていました。
フロントカップ部分のステンレスのリングはこれ以前の ABU-Matic にも見られたものなのになぜ設定されなかったのでしょうか?謎です。このリングを取り去ったことで、ラインの当る部分に傷が付きやすく、それによってラインを傷めてしまう結果となってしまったわけです。また、ABU-Matic と比較して非常に大きな開口部を持つために、強度不足となり比較的容易に変形してしまうものになってしまったようです。この問題を解決するべくステンレスのリングが設けられることになったのはこの登場後すぐのことだったみたいですが。
後期に入ると、スプール取り付け部分などが明らかにコスト削減だなと思わせるものになるなど、寂しいものになっていきました。
一時期は、中古品にも関わらず当時の新品価格(日本の正規輸入元エビスフィッシングでは1万5000円が定価でした。)を上回るほどの値段で取り引きされているようですが、販売されていた当時、日本では人気がなくモデル末期には叩き売り状態になりました。もっとも、惚れ込んでいた私達には大変なチャンスだったので皆いくつも購入していたようです・・・
アメリカでは最初期モデルから Garcia ネームのモデルが存在していますが、1972-73年頃に外装塗装の変更になった以降のものには存在しないみたいです(私を含め多数所有している友人にもこのタイプを所有している者はいません。)。

ABU 503/Garcia ABU 520

1966年製造開始登場のモデルです。これは、ABU 505 のドラッグ機構を簡易にしたモデルで、スターホイールの代わりに、プリセットタイプのドラッグダイヤルを装備しています。それ以外は、ABU 505 と同じと思います。
ただ、塗装変更後の後期のモデルに、ABU 505 と全く同じ姿のもの(黒いスターホイール付き)が存在しています。私の他にももう一人同じ物を所有している知人がおりますので、複数製造されたのは確かなようです。(※最近、もうお一人お持ちの方がいらっしゃることがわかりました。)どういう物なのか良く分かりませんが、上記「各モデルの写真」内に掲載しておりますので、ご覧になってみて下さい。このモデルは、アメリカではなぜか Garcia ABU 520 として販売されました。503 というナンバリングをされたモデルが他にあったりしたのでしょうか?
なお、この Garcia ABU 520 には、出荷時に「BONNYL 6lbsTEST 120yds」が巻かれています。

ABU 506

1968年製造開始登場のモデルです。私達の所有しているモデルでは1981年が最後です。これも15年近く製造が続いたことになりますが、やはり、この間にいくつかの変更点があります。外装面では、塗装・ハンドルノブの形状・モデルシールロゴなど。内部では、ギヤー周り・センターシャフト周り・スプール取り付け部分などに違いが見られます。
ちなみに最初期の物は、ツヤありのボディ・捻りの入ったハンドルノブ・SVANGSTA ロゴ付きのモデルシールなどが特徴になっています。
ABU 506 は、オートシンクロドラッグを装備してデビューしました。これは、シンクロドラッグでは自分自身でハンドルを反転させないとドラッグが緩まなかったところを、ハンドルから手を離すだけで同様の効果をもたらすというものです。ただ、私自身としてはその効果はともかく、使用感については別途記載している通り???です。

ABU 507

1971年製造開始登場のモデルです。私達の所有しているモデルでは1981年が最後です。
ここまで3モデルが発売されてきましたが、このシリーズにもやっと異なるサイズのモデルが登場しました。これまでのモデルと比較して1.5倍以上のラインキャパシティを持つものの、使い勝手は全く変わらないので、500シリーズユーザーには嬉しい仲間となったはずです。現在と違い、当時は今よりもラインの太さが太かったので、これでやっと海で使えるサイズのものが出たと思われた方もいたのではないでしょうか?
ちなみに最初期の物は、ツヤありのボディ・ABU 506 用と同じ短いハンドル軸に捻りの入ったハンドルノブなどが特徴になっています。
後に、ハンドルが長いものに変更となりますが、翌年登場の 508 が当初から長いハンドルを装備していたようですので、 507 もその時期までには長いハンドルに変更されたと思われます。

ABU 508

1972年製造開始登場のモデルです。私達の所有しているモデルは1981年が最後です。
ここにきてこのシリーズ初めての右ハンドルモデルです。507 の右ハンドルモデルと思って頂けば間違いありません。私自身は、左ハンドルがメインでしたので、特にありがたみを感じたことはありませんでしたが、右ハンドルを使いたかった方には朗報だったのでしょう。でも、505 等の小さいサイズのモデルに、右ハンドルモデルが登場することはありませんでした。
こちらも最初期の物には、他と異なる点があり、ツヤありのボディ・捻りの入ったハンドルノブなどが特徴になっています。しかし、ABU 507 とは異なり、当初からハンドル軸は大型モデル専用の長いものだったようです。
また、何故か中期頃からのモデルでは、モデルナンバーが上下逆に貼付されているものが非常に多いのです。

ABU 501

1978年製造開始登場のモデルです(私達の所有しているモデルの最初の物は1978年製です。ただし、製造ロットが 01 なのでもしかしたらもっと前の物があるかもしれません。)。前にも書いた通り、「ダイレクトドライブ」モデルです。このシリーズになぜこのようなタイプがラインアップされたのでしょうか??? ダイレクトドライブモデル支持者が多かったということなのでしょうか???
なお、一部の方で、このモデルのカタログ上の糸巻き量が少ないためか、他のモデルより小さいものと思われていらっしゃるむきがあるようですが、ボディサイズ自体は、ABU 503 や ABU 505 と変わりはありません。スプールがプラスティック製の浅溝のタイプものが使用されているために糸巻き量が少なくなっています。ちなみにこのスプールは他のモデルにも使用できますし、他のモデル用のスプールを ABU 501 に使用することもできます。
*千葉県の某ショップのオーナーさんは、当時「これが一番」とおっしゃっていました。2005年、縁あって約20年ぶりにお店の方とお話をする機会があり、その際にオーナーさんもお元気であると聞き、大変懐かしく思われました。私が通っていた当時はとても小さなお店でしたが、今では大変大きなお店になっておられました。今後も発展されるよう期待しています。

ABU 506M

1978年製造開始登場のモデルです。とても説明しにくいモデルです。内容からすると ABU 501 と ABU 506 とのまぜあわせといった感じです。ボディに付属させる大物部品は ABU 501 で、ドラッグなどの内部部品は概ね ABU 506 です。日本ではカタログに登場していないようですが、販売はされていました(私は当時エビスフィッシングの特約店をされていたお店で購入しました。)。
インターネット上では、ギヤ比が ABU 506 より速いという記載を見かけますが、実際には使用されているギヤの部品ナンバーが同じなので、そういったことはなく表記が大雑把になった(1:3.92 → 1:4)だけではないかと思います。