スピンキャスティングでの釣り

スピンキャスティングでの釣り

振り返れば私達が一番古いHPを始めた頃は、ただ手持ちのアブマチックとアブ500シリーズのリール写真を撮影して掲載していただけのものでした。
そんな単純なHPであったにもかかわらず興味を持ってご覧下さった方がいらした反面、スピンキャスティングリールなんて使い物にはならんというご意見も沢山ありました。
でも、私達はアブマチックやABU500シリーズを使い続けています。これらはルアー釣り初心者でもボタンを押すだけで簡単に使えてトラブル知らず。こういう便利な道具を使わない手はないと思うのですが。

私達がルアー釣りを始めた頃

入手できた釣竿ではスピニングリールを使うものとスピンキャスティングリールを使うものが多かったようです。ベイトキャスティングリールを専用として使うための釣竿というのはあったのかどうか?
どこかでも書いているとおり国産の釣竿では「ルアーキャスティング」などと書いてあるだけのものもありました。これらは使用されていたガイドのサイズからスピンキャスティングリールを使うのが前提だったと思われます。
私達が比較的初期に入手できたピストルグリップの釣竿の多くがスピンキャスティングリール用だったのは間違いないでしょう。これにベイトキャスティングリールを付けるとちょっと困った(というか不細工な)事態になりました。

スピンキャスティングとベイトキャスティング

スピンキャスティングリールとベイトキャスティングリールを同じ釣竿で使う上でのもっとも大きな問題点はガイドのサイズ(形状)です。特にグリップに近い部分のガイドのそれです。
一例ですが、販売されたのは1970年代の後半位だったでしょうか?ダイワの初期ファントムシリーズに「PCB-60」というベイトキャスティングリール用の釣竿と「PCC-60L」というスピンキャスティングリール用の釣竿があります。
この2本、グリップは全く同じグリップ(だと思います)が付いています。でも、外観上、ガイドが全く異なるのがすぐに分かります。「PCB」は二本足で背の低く比較的径が小さいタイプ、「PCC」は一本足で背の高く比較的径が大きいタイプが装着されています。(恐らく、当時のダイワ製の)両タイプのリールに設置されているラインの出口の高さが異なるためそれぞれに合わせたのでしょう。
ここで「PCB」にスピンキャスティングリールを装着してみると、リールから一番近いガイドまでの釣り糸の張り(角度)が急な感じはするものの、あまり違和感はないかも知れません。でも、「PCC」にベイトキャスティングリールを装着するとリールから一番近いガイドまで釣り糸が離れていくような印象に張ってしまいます。特にこの釣竿と同時に販売されたダイワの「SM-2」や「SM-20」はアンバサダー5001Cなどよりも低く潰れたデザインだったので余計にそんな感じがしたものです。
つまり、「ベイトキャスティング用」にスピンキャスティングリールは何とかOK。でも、「スピンキャスティング用」にベイトキャスティングリールはダメ(というか上手くない・・・)ということでした。
記憶では、1980年頃までは各メーカーから「ベイトキャスティング用」と「スピンキャスティング用」の二種類の釣竿が出ていたように思います。もちろん、全く同じ調子のものに二種類が存在していたのではなく、メーカーとして「これはベイトキャスティングリール用」「これはスピンキャスティングリール用」と予定していたという意味です。

スピンキャスティングが消えた・・・

上に書いたとおり、少なくとも1970年代の後半くらいまではメーカーもスピンキャスティング用の釣竿とリールを用意していたと思います。書籍でも、スピニング・ベイトキャスティングと共にスピンキャスティングのセットが紹介されていました。ですが、国産メーカー製のベイトキャスティングのシステムが沢山製造・販売されるようになった頃、スピンキャスティングは使えないと書く書籍が目立つようになりました。メーカーの製品もリールこそしばらくはありましたがスピンキャスティング用とする釣竿がなくなったように思います。上に書いたようなことと関係が有るのかどうかは分りません。でも、どちらかといえば「ベイトキャスティング用の釣竿にスピンキャスティングリール」の方が見た目の違和感が少なかったのは間違いないと思います。
書籍がスピンキャスティングを否定するようになったときに書かれたのは「釣竿」ではなく「リール」の否定でした。スピンキャスティング用の釣竿とベイトキャスティング用の釣竿はグリップさえも同じものだったのであるから、ある意味当然だったんでしょう。
でも、海外へ出た時に驚いたのですが、日本でスピンキャスティングが否定された後でも外国ではスピンキャスティングのセットはポピュラーでした。さらに驚いたのは、日本のメーカー製のスピンキャスティングリールが沢山あったことでした。日本国内では、皆で寄ってたかってけなしているのに・・・とある意味国内メーカーの言うことに不信感を持ったのも確かです。

スピンキャスティングリールに問題があったのか?

書籍等でスピンキャスティングリールを否定するために言われたことが「釣力の弱さ」や「ベイトキャスティングリールと異なり釣り糸に巻きぐせが残る」といったようなことでした。
リールの箱を見ると釣力という項目がありましたが、スピニングリールと比較してそんなに言われるほど違ったような記憶はありません。「巻きぐせ」は同様の向きでスプール軸に釣り糸を巻くスピニングリールでも現れる症状でしょう。
まぁ、こういうのは理屈かな? 「巻きぐせ」の定義によるのかも知れませんが、厳密にいえば、ベイトキャスティングリールであっても巻き付けている以上巻きぐせはついているはずです。目立たないだけで。
それまでも長いことスピンキャスティングリールを愛用していましたが、特別困るようなことはありませんでした。ミノーのような軽めのルアーを使う場合などはベイトキャスティングリールよりスピンキャスティングリールの方がよっぽど楽に投げられますし。
2019年の今でもその頃に使っていたのと同じリールを使っていますが、何も問題はありません。
「釣力」の問題がどんなものなのか?釣りをしていてどういう時にどんな風に発生するのか?は今でも全く分りません。やはり、楽しみで釣りをする分には「理屈」は不要ではないかと感じます。
今のところ、私達としてはスピンキャスティングリール自体には何も問題はないと思っています。
しかし、以前ブログに書いたとおり、スピンキャスティングリールの場合(ベイトキャスティングリールも同様ですが)親指をボタンにかけて投げるという構造から片手では釣竿をしっかり握ることが出来ません。ですから、投げる時に全力(おおげさかな?)をかけることが困難です。スピニングに比べて飛距離を稼ぎにくい原因はこのあたりにもあると思います。
私達はそのためにベイトキャスティングでもスピンキャスティングでも「ダブル」若しくは「セミダブル」タイプのグリップを使用しています。両手で投げることでかけられる力が圧倒的に増えると思います。安定して飛距離を稼げているはずです。
飛距離が出ない、もっと飛ばしたいと思う方はダブルタイプのグリップを試してみてはどうでしょうか?