ABU Matic Series

ABU Matic シリーズについて

このスピンキャスティングタイプのリールは、エビスフィッシング(販売当時の日本の代理店)のカタログでも「通称快速リールと呼ばれ」とありますが、片手でラインリリースができるなど、リール全体がよりスピーディな釣りを実現できるよう機能化したもの ということだそうです。

さらに操作が極めて容易であるところが特色です。しかし、そのことがスピンキャスティングタイプのリールを初心者向きのものと思わせてしまっているようですね(ここにある ABU Matic にはそういう感じはないと思うのですが・・・)。
私達の場合は道具として操作が簡単であることは大変なメリットに感じていますので、現在でもこのタイプのリールを愛用しています。特に左ハンドルの ABU Matic 141 は非常に使いやすく手放せない存在です。

必ずしも同時に製造・販売されていたわけではありませんでしたが、このシリーズには、ここに紹介するモデルのほかにも「ダイレクトドライブモデル」や「オートシンクロドラッグモデル」など非常に多くのモデルが存在していたようです。ここでは、私達が良く使用する ABU-Matic 40 41 60 61 62 70 72 80 82 140 141 160 170 の各モデルを紹介しています。ちなみに、これらはいずれも「シンクロドラッグ」を装備したモデルです。
二桁番モデルが先に登場し、その後三桁番モデルが改良版として登場しました。現在、実際に釣りに使用する場合には三桁番モデルが全ての面で優れていると思います。なお、1の位が「0」のモデルは標準的な右ハンドルモデル。「1」のモデルは左ハンドルモデル。「2」のモデルは下吊りタイプです。これらはどのタイプにおいても中身の部品はほとんど変わりありません。

各モデルの写真はこちらへ  

 

各モデルの概要・特徴など 概ね登場順?

ABU Matic 60/Garcia ABU Matic 40

1950年代後半に製造が開始されたこのシリーズ極初期のモデルの一つです。
既に「シンクロドラッグ」機構を備えており、スピンキャスティングリールの完成形の一つと評価されていたようです。ここでは、2つのモデルを一つの物として紹介していますが、実物を比べてみると ABU Matic 60 と Garcia ABU Matic 40 の間には、色とモデルナンバー以外に違いが見られないためです。
Garcia と付いているものは、アメリカでの販売のためかと思われますが、敢えてモデルナンバーを変更した理由はわかりません。モデルナンバーを変えるために色を変えたのか、それとも色を変えたからモデルナンバーを変えたのか。それとも他の理由があるのか・・・ また、知人は Garcia ABU Matic 60 なるものを所有しています。もちろんカップの色などは赤です。Garcia のない ABU Matic 40 というのは見たことがありませんが、ガルシアでは何故番号が違うだけの同じモデルを販売していたのでしょうか・・・ それとも 60 と 40 には何か構造的な違いがあるのでしょうか・・・
<追加>
別に掲載している「部品図」が共用されていることもありますので、機能面は同じと考えて間違いないと思いますが・・・

ABU Matic 61/Garcia ABU Matic 41

1960年前後に製造されたモデルのようです。これは、各々 ABU Matic 60/Garcia ABU Matic 40 を左ハンドルに造り変えたモデルで、それ以外、機能等には一切相違はありません。アブらしいのは、全てを完全に反対にしたわけではないところです。 5001C もそうですが、これもドラッグの回転方向などは右ハンドルと同じです。共用して問題の無い部品は使用するということだったようですね。
なお、ガルシア版の 61 というのは 60 の場合とは違って見たことがありません。

ABU Matic 62

これも1960年前後に製造されたモデルのようです。これは ABU Matic 60 を吊り下げタイプにしたものです。これもガルシア版の 62 及び 42 というのは見たことがありません。
ほぼ同時期に ABU Matic 72 と ABU Matic 82 が登場していたようですが、すぐ後に ABU 500 Series が登場を控えていたためか、非常に短命に終わったようですね。また、ここで紹介している3タイプ以外に ABU Matic 32 という吊り下げタイプのモデルが存在するそうです。これについては、スウェーデン在住の方からのメールで情報を頂いただけですので詳細は分かりません。

ABU Matic 70

1950年代後半に製造が開始されたモデルだそうです。
これは ABU Matic 60 を一回り(二回り位かな?)大きくしたものです。機能面でも ABU Matic 60 を踏襲したものですが、さらにスプールオシレーション機構が追加され、増加した糸巻き量と大きくなったスプールの問題を改善しています。外観のデザインも大きくなったことからか見直されています。
最近分かったことですが、写真の金/茶色のモデルは最初期のモデルであるということでした。このすぐあと、赤/黒色に変更されていますです。また、分かっている限りですが赤色にはガルシア版も存在します。このサイズの左ハンドルモデル( ABU Matic 71 )は見たことがありません。

ABU Matic 72

これは1960年前後に製造されたモデルのようです。これは ABU Matic 70 を吊り下げタイプにしたものです。これもガルシア版の 72 及び 金色のモデルというのは見たことがありません。このモデルはサイズから ABU 505 への過渡期のモデルだったと言うことになるのでしょうね。

ABU Matic 80

これは1950年代後半に製造が開始されたモデルです。
これは ABU Matic 70 をさらに一回り大きくしたものです。機能面でも ABU Matic 70 を踏襲しています。最近分かったのですが写真の黒/白色のものは初期のモデルであるということでした。このすぐあと、赤/黒色に変更されています。ただし、この変更の時期は ABU Matic 70 に比較してかなり遅かったんだそうです。このモデルには、様々な細かな変更が行われました。主な変更箇所はハンドル部分に集中しています。なお、分かっている限りですが赤色にはガルシア版も存在します。左ハンドルモデル( ABU Matic 81 )は見たことがありません。

ABU Matic 82

1960年前後に製造されたモデルのようです。これは ABU Matic 80 を吊り下げタイプにしたものです。これもガルシア版の 82 及び 赤色のモデルというのは見たことがありません。かなり後のことになりますが、このモデルはサイズから ABU 507 への過渡期のモデルと言うことになるのでしょうね。

ABU Matic 160/Garcia ABU Matic 140

1960年代中盤乃至後半に製造されたモデルのようです。これらのモデルはそれぞれ ABU Matic 60 / Garcia ABU Matic 40 の改良版に当たります。したがって、同様にこれら2つのモデルは外装色を除いて内容は全く同じといってよいもの(と思います)です。さらに後になると Garcia ABU Matic 140 は外装色が160 と同じ赤色に変更されたため、モデルナンバー以外は全く同一の物となってしまいました。

Garcia ABU Matic 141

これも1960年代中盤乃至後半に製造されたモデルのようです。これは前記の Garcia ABU Matic 41 の改良版であり Garcia ABU Matic 140 の左ハンドルモデルです。ABU Matic 161 は見たことがありません。また Garcia ABU Matic 140 同様、後になると外装色が赤色に変更されました。
このHPをご覧頂いている皆さんの反応から、あまり知られていないモデルのようですが、右投げの私達にとっては非常に使いやすいモデルです。さほど飛距離は出ませんが、505 で使うよりも更に軽いルアーを投げやすいと感じています。

ABU Matic 170

これも1960年代中盤乃至後半に製造開始されたモデルのようです。
ABU Matic 70 の改良版で、恐らく、日本では最もポピュラーな ABU Matic の一つではないでしょうか。
1990年頃には復刻版も製造されたそうです。但し、聞くところによるとこの復刻版は「スウェーデン製」ではなく「日本製」だったそうで、オリジナルと比べるとトラブルも多かったという話を聞きます。これは私達にとってはあくまで噂に過ぎないことですが・・・